版画の作品 関西版画展出品作品

フランス装飾裂シリーズ

旅の記憶                 

 2006年 ポーランドのビドゴシテイ市の美術館にて、展覧会のためはじめてポーランドを訪れました。搬入オープニングを終わってから近くのグダンスク市、ポズナン市、クラコフ市、ワルシャワとポーランドをまわってきましたが、この国にきたらやはり、どうしても行かなくてはと思ったところは  アウシュビッツでした。
 ポーランドではオシュフェンチムとポーランドの地名の言葉でよばれていました。


 
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空   

 かつての収容所の中から窓を撮った1枚の写真、窓からはどこまでも続く空が見える。どんな思いで、ここからの空を眺めたのだろうと心が締め付けられます。



フォトポリマーグラヴェールについて
  写真製版をポリマーフィルムにして後は普通のエッチングと同じように刷っていきますがノントクシック技法(非毒性)により有機溶剤など使用しない方法です。




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窓   

 かつての収容所は今ではいろいろな記念館というか遺品の展示空間になっている。この部屋にはいった時は驚いた。大きな部屋の半分がガラスケースになっていて、その中におびただしい数の靴が山と積まれていた。この靴を履いた人びとは帰らなかった。
      ガラスケースにうつった窓から切ないひかりがもれていた。


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LAST STATION 

 
      アウシュビッツのほかもう一つの収容所、ビルケナウがある。
      その収容所へは、はいるところまで延々と長い線路が続いている。
      でも、その先はない。そして帰ってくることもなかった。

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GATE 

 アウシュビッツ収容所のところに入る門。ここには鉄製のドイツ語で「働けば自由になる」というコトバが掲げられている。収容者に無理やりか作らされたのだ、その皮肉をこめて「B」という文字が反対につけられていた。
      その歴史的にも大切なゲートの看板が2009年12月に何者かによってぬすまれたと新聞で見て驚いた。後でつかまったというが同じ看板はもう二度と戻らない。


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彫刻 ひかりの木

      高瀬川の川中に展示した自分の彫刻です。大きな森もたった一つの双葉からはじまります。

by nobukoueda | 2010-03-26 11:04 | ノブコ・ウエダ出品作品 | Trackback | Comments(4)

Commented by nomadmurasaki at 2010-03-26 20:59
印象的な作品ですね。
アウシュビッツという重い題材を、
ノブコサンが一生懸命考察したうえで、表現されている。
説得力のある作品群になっていると思いました。
バックのフランスの装飾裂とのコントラストも効いています。
Commented by nobukoueda at 2010-03-26 23:05
>リリーさま
 いつもありがとうございます。
重いテーマだったので、逆に優しいプリント柄で周りを縁取ってみました。
 これのシリーズで一冊の版画集みたいなのができたらです。
Commented by mi-mian at 2010-03-29 18:35
こんばんは*
一見、きれい、と思って、じっくり見たら、
大量の靴だったりして、どきりとして文章を
呼んでみたら重いテーマだったのですね。
だけど、心に残る作品ですね。
そして、最後のひかりの木に、救われた気持ちがしました。
Commented by nobukoueda at 2010-03-30 08:57
>mi-mianさま
 いつもありがとうございます。
 小さな画面ですが、いろいろな思いをこめてつくりました。ただ、それだけもというので、自分の作品も最後にいれましたが、救われた気持ちといっていただき私も救われた思いです。
いつもありがと~★
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